2021年2月 3日

坂上博俊さん(平成23年度卒)を紹介します!

今回紹介するのは坂上博俊さん(平成23年度卒)!

坂上さんは中高一貫コースの三期生として本校を卒業した後は、

近畿大学の理工学部に進学されたのですが、在学中に「起業」し、

現在はプラクス株式会社の代表取締役を務めていらっしゃいます!

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「起業」に興味がある人はもちろん、参考になるお話がたくさんなので

ぜひ在校生や大学生の皆さんに読んで欲しいと思います!(^^)/


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①本校を卒業してから今の仕事につくまでの経緯を教えてください。

 まず私は大学に進学しました。運が良かったことに附属校推薦で近畿大学の特待生(原則4年間授業料免除)枠をいただけることになり、その際、学科を選ぶことができたので、将来的に医療(を含むすべての分野)に関われそうで個人的に興味もあった情報学に決めました。

 そして大学では上記にもある「原則」4年間授業料免除を守るために成績重視で考えていました。一定の成績を維持するという条件なのですが、これが結果的に良かったと思います。その理由として、東大阪キャンパスともなると必然的に下宿生活となり自由度が跳ね上がります。ゆえに朝までゲームしても怒られません。ですので、成績の維持という制約は本当に有難かったです。

 そしてある程度講義が進むとその分野が分かるようになります。そうなると授業が楽しくなります。そこまでくれば進んで大学に行くようになるので、あとは学べるだけ学ぶだけです。最終的には141単位とりました(卒業に必要な単位数は124単位)。他にも近畿大学では課外講座として学外から講師を招いて学内で勉強できる「基本情報技術者試験対策講座」や「日商簿記検定対策講座」などがあり、それで日商簿記3級も取得しました。

 その大学生活のなかで、すごく尊敬できる先生と出会います。その先生は「どうせ書くなら人を幸せにするコード(プログラム)を書きたいよね」と自身の研究だけでなく、学内外を問わず依頼のあった開発も引き受け、また、学生に対しても真摯に接する先生で、「この先生についていきたい」と思いました。特待生維持のために成績はある程度あったので、研究室は希望通りその先生のところに決まりました。

 そしてこの先生の研究室で「家系図描画ツール」に出会います。このツールは同じ近畿大学の生命科学科から依頼を受け開発されたもので、遺伝的に医療情報を管理できるツールです。そして、私は「このツールを世の中に広めることが医療への恩返しになる。これこそが私の成すべきことだ!」と天啓を得ます。
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  ……とはいえ起業なんてしたことはなかったので、どうしていいかわかりませんでした。そこで、先生から「起業するのだったらビジネスコンペ出よう」とアドバイスいただいたので、直近にあった「キャンパスベンチャーグランプリ大阪」に出ることに決め、3日間研究室にこもって初めての事業計画書なるものを作成しました。結果はコンテンツが良かったこともあり、技術部門で上から2番目の優秀賞を受賞しました。

 そして社会人経験と技術力向上、および資本金の獲得を目指し「東大阪モノづくり専攻」への進学を決めます。この専攻は近畿大学のある東大阪周辺の企業の研究室で研究し、社会人としての経験や技術力、給与と修士学位までいただけるめちゃくちゃお得なものです。そこでもまた素晴らしい社長と出会うのですが、このすべてを書くとこの記事が終わらないので、またの機会にさせていただきます。そして、この在学中に起業し今に至ります。

※近畿大学の東大阪モノづくり専攻についてはこちら
https://www.kindai.ac.jp/science-engineering/department/graduate/innovative-engineering/

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最初に事務所を構えた八尾市インキュベートルーム


 最後に話はそれますが、もう一つ今につながる近大福山在学中の体験がありまして、私は放送部部長をやらせていただきました。決して大きな部ではなかったとはいえ組織を運営する経験は、今の経営者という選択をする良い要因であったと思います。

②今の仕事の内容を教えてください。

 私はプラクス株式会社というシステム開発をする大学発ベンチャー企業を立ち上げ、経営をしております。

 事業内容は「医療情報を未来に繋ぎ、生かす」というミッションのもと、家系図上に医療情報を記録する「医療用家系図システムGenieDraw(ジニードロー)」を世の中に普及させることで、これからの遺伝医療のための情報プラットフォームを構築することです。

 現在の目標は「日本人を一つの医療用家系図で繋ぐ」ことです。例えば「うちはがんの家系」とか「糖尿病の家系」とかよく言いますが、本当にそうなのでしょうか。またそうだとしてそれを普段の検診で考慮していますでしょうか。がん以外にも遺伝するとされている体質や病気は多くあります。まだはっきりと研究結果の出ていないものに対してもデータを集めたり、解析したりする研究協力をすることで、皆様自身はもちろん、のちの子孫にわたって相続・活用できる医療情報の基礎作りを目指しております。

 業務内容という意味では、細かなコード修正や営業、経理、資金調達、協力者との連絡、書類等の作成、経営判断のための調査などを行っております。創業時は開発も自分でやっていたのですが、今では優秀なエンジニアが協力してくれているので、主な開発は任せております。

③今の仕事のやりがいや今後の目標などを教えてください。

 私は生まれつき左耳が耳たぶしかない「小耳症」でした。それを3度の手術(あばら骨を取り出し耳の形を作り、穴を開け人工鼓膜を入れ、耳輪を持ち上げる)で少しですが聴力を得ることができました。そのため、医療に恩返しがしたいと考えておりました。また、大学からも特待生で4年間(約500万円相当)の支援をいただいていたので、何か恩返しできることはないかとも考えておりました。

 そんな中での大学の特許(研究成果)を用いた医療関連製品で事業を起こすことができたので、この事業で医療分野への貢献はもちろん、大学の教えである「実学(社会に役立つ研究)」を研究成果の社会還元によって実現し、いずれは得た利益から大学へ還元することでさらなる研究を行い、その成果をまた事業化し社会に役立てるという良い産学循環を構築するのが使命だと感じております。特に日本は「技術力はあれども研究力で諸外国に遅れている」現状もありますので、なおさら頑張ろうと思っております。
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現在の戸建て一階ぶちぬき事務所


④後輩達に何かメッセージをお願いします。

 皆さんにアドバイスというほど経験を積んでいるわけでもないので、個人的にオススメしたいことをいくつか共有させてもらいます。

 1つ目としましてはいろんなことに興味を持つことです。なぜ1+1が2なのか。なぜお湯を温かく感じるのか。なぜ薬で病気が治るのか。なぜテレビが映るのか。なぜ人は争うのか。小学生みたいと思われるかもしれませんが、それぞれが立派な学問であり、これから皆さんが修めようとする大学の勉強です。役に立たない勉強なんてありません。

 また、誰しも必ず何かしらに惹かれる学問があるはずです。とりあえず進学というのも今の世の中仕方ないのかもしれませんが、できれば進学までにやりたいこと見つけていただき、興味を持ってその学部学科に進学されることをお勧めいたします。授業を担当してくれている先生はもちろんOB/OGの先輩方もかわいい後輩たちの訪問を待っております。気になる業界や職業があれば先生や同窓会にお声がけください。必ずや力になってくれます。

 2つ目はあまり自分を追い詰めないことです。初めての人生ですので失敗はだれにでもあります。反省(原因の特定と二度と失敗しないための対応策の策定)はしても後悔(気持ちだけ引きずること)はするべきではありません。とはいえ失敗はしないに越したことはないので、そのための秘策として、何か大きな決断をするときは、朝、日光を浴びながら行ったほうが良い結果になることが多いということを覚えておいてください。夜中は肉体的にも精神的にも正常な判断ができにくいようです。今日の夜も明日の朝も締め切り的には変わらないことが多いので、できる限り朝考えてください。そして夜は早く寝てください。

 3つ目に、私の尊敬する先生の言葉に「ここまでと思ったらそこまで」というものがあります。私自身の言葉でないので恐縮ですが、この言葉のとおり自分で限界を決めてしまわないでください。人間というのは思いこむ生き物です。自分で決めた限界を自分が超えることはまずありません。ただ、限界を決めなかった先輩たちの挑戦のおかげで、車は空を飛び、テレビは4ミリの厚さで4Kになり、スマホが畳めたり伸びたりする時代がもうそこまで来ております。ブラウン管テレビやガラパゴス携帯を使ってきた私からはすでに信じられないような世界ですが、これから想像もできなかったさらなる技術が出てくるでしょうし、皆さんがそれを発明するかもしれません。

 私も世のため人のため、私自身のために挑戦を続けます。そしていつか皆さんと共に世界を変える挑戦ができることを心待ちにしております。
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大学時代の誕生会、友人たちに囲まれて(掲載許可は取っています)



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坂上さん、お忙しい中ありがとうございました!m(_ _)m

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「自分が学んできたことで世の中に貢献したい」
という坂上さんの熱い想いがヒシヒシと伝わってきました!

なお、坂上さんが起業された「プラクス株式会社」の「プラクス」とは、「Practical Science」(=実学)から取られたそうで、ここからも「研究成果を社会に還元する」「世の中の役に立つ研究をする」という、坂上さんの確固としたポリシーを感じますね☆

プラクス株式会社のHP:https://pracs.co.jp/

近大福山は坂上さんの今後の更なるご活躍を心から応援しています!
「世界を変える」べく、これからも果敢に挑戦を続けてくださいね!


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